10、実戦性と実用性
街中での護身の場では、那覇手と首里手のどちらが有効的でしょうか。
一般的に、遠く離れた間合いから一撃で相手を倒す事のできる首里手が有利だともいえます。
しかし間合いに入った瞬間に攻撃を仕掛ける首里手では、社会通念上は過剰防衛に問われる可能性があります。
首里手の使い手は、相手が「何だ、やるのか?」と間合いに入って来た瞬間に先に手が出てしまうのです。
武術はそれぞれの持ち味を最大限に発揮することが最良とはいえ、この場合は社会道義的に問題となってしまいます。
万が一、交番にしょっぴかれた場合に「相手が間合いに侵入してきたから防衛の為、先制攻撃した」といっても、警官や周りの人間は納得してくれないでしょう。
仮に裁判にでもなった場合、正当防衛とは認められない可能性が大です。
そもそも空手を稽古していて喧嘩等に臨んだ場合は、予め準備して分かった上でのことですので、凶器準備といえる要素があるのです。
空手家は己の手足が凶器であることを自覚せねばなりません。
それでいて万が一にも不覚を取ったりすれば恥となるのですから、何ともやり切れませんね。
一方で、対手が複数であったり、武装していた場合などは、躊躇なく首里手こそを行使するべきなのかとも考えますが・・・。
街中や路上での現状ですが、海外では兵役やボクシング、レスリング等の影響からか、いきなり殴りかかってきたりタックルしてきたりする場合が多いそうです。
対して日本人の場合は「やるのか!」と恫喝しつつ襟元を掴むところから始まる場合が大多数に見えます。私も経験上はこちらが多いです。
国民性の違いかもしれませんが、欧米諸外国とは対照的ですね。
那覇手では、柔法と併用して剛法を用います。接近戦が主眼ですので、関節技などで対手を制しておき剛法で止めをかける戦法です。
余談ですが、動けぬ対手への剛法ですので、その威力たるや想像を絶するものがあります。
戦時には柔法の応酬では先ず遅れを取りませんし、襟元を締め上げられた後でも、いや、だからこそ有利となります。
満員電車や狭い屋内でも戦えますし、日本の慣習や現状には則しているといえるでしょう。
柔法で対手を降参させれば、不必要に剛法で相手に怪我をさせる事もありませんし、必要であれば加減しての剛法攻撃も可能です。
現代社会では非常に有効的と言えるでしょう。

仮に遠距離戦闘であっても、街中の護身の場では、完成した首里手の達者が相手という場合は稀でしょう。
それ以外の突き蹴りなど、鉄壁を謳われた回し受け等で防御可能であり、その直後に柔法で取り押さえる事も十分可能です。
例え、剛法であろうと柔法であろうと、接近戦であろうと遠距離戦であろうと、一般的なレベルの場であればオールマイティーにその性能を発揮します。
剛柔流は実戦的であるだけでなく、実用的でもあると考えます。