《 流派解説 》


【 流派系統 】

空手は沖縄の手(ティ)という武術が源であり、中国(唐)や日本、東南アジア諸国などの拳法等と融合してできたもので、戦前は唐手(トゥーディ)と呼ばれていました。

 剛柔流は宮城 長順(明治20年〜昭和28年)を開祖とし、沖縄空手の首里手(主として遠距離戦)と那覇手(主として接近戦)の大別の内、那覇手に属します。
那覇手の一大流派であった昭霊流(東恩納 寛量が著名)を母体として発展してきた、沖縄古参の流派の一つです。



〈 剛柔流開祖 宮城 長順 〉

宮城 長順は沖縄那覇市内に生まれ、14歳の時より東恩納 寛量に師事。師の命により、明治36年に若干16歳で中国福建省に単身渡航。
福建派の拳法の劉龍公に師事し、拳法を習得し帰国。後に剛柔流空手を創設しました。
余談ですが、この時期に仲井間憲里(劉衛流空手)、上地完文(上地流空手)など多数の琉球人が福建省などに渡航し、同系統の拳法を習得してきました。

「剛柔流」の名称は、中国古文献の「武備誌」から抜粋されたものです。
その中の拳の八句、「法剛柔呑吐(法は剛柔を呑吐するとの意味)」の一句に由来しています。
古来から「空手に流派はいらない」とされてきましたが、剛柔流は初めて流派名を名乗った空手でもあります。


【 技術体系 】

接近戦が主眼のため手技が多く、組み付かれ易い間合いなので足技は下段が中心です。
手と足を上下同時にコンヴィネーションで用います。
手技は経絡経穴(ツボ)の急所への攻撃のため、足より筋力の劣る手であっても威力は絶大です。

打撃技(剛法)と、接近戦に不可欠な、組技、関節技、投げ技などの(柔法)、及び 活法、整骨、整経絡などの(整法)とから成り立っており、剛と柔の両面を併せ持った 総合接近戦格闘術です。

歴史的に長期に渡って研鑽された為、非常に洗練されており、習得が早いのが特徴です。
元来、仏教布教を伴なう中国少林拳がベースとなっているため、「今日習い、明日役立つ」の性質があります。


【 戦略 】

 「空手に先手無し」との理念(先手を取らして優位に立つとの意ではなく、人に打たれず人を打たずの意)から、対手の攻撃に合わせての反撃を旨とする、守主攻従型の一面を持つ空手です。

基本理念として「医学的に研究し、力学的作用(テコの原理)をもって、合理的に戦う」との考えを持ちます。

人体について研究・熟知し、各部位の急所をとらえた攻撃法であるため、破壊力は絶大です。
場合によっては指先一つで対手を絶命させ得る事もあります。
剛柔流の打撃技(剛法)は、経絡経穴=点穴(ツボ)の急所をへの当て身技であると いえます。

接近戦を主とするため柔法が発達しており、投げや関節技に富んでいますが、決してごり押しの力任せではなく、自然にかなった武術的に効率の良い力の用い方をします。
鍛錬により体を鍛えはしますが、天与の体躯に頼ったものではありません。


【 戦術 】


スピードに頼って踏み込むのではなく、敵の反撃に備え、円軌道の受け技で障壁を張るように防御しつつ、ジリジリと接近します。
鉄壁の防御で対手の攻撃を無効化しつつ接近し、間合いに入り柔法で対手を捉えて制し、剛法で止めの攻撃をかけます。

関節技などの柔法で動けない対手の無防備の経絡経穴の急所へ、接近戦用の剛法(猿臂(肘)打ちや膝蹴りなど)で攻撃するわけです。
よってその破壊力たるや、通常の剛法に比べ二倍にも三倍にも倍加します。
このように剛と柔が相互に助け合う事によって、相乗の効果が発揮されています。

回し受けや掛け引き受けなど防御は攻撃に対し単に弾き返すだけでなく、受けつつ絡めとる様に出来ており、対手の体勢を崩し取り押さえるきっかけとなります。
その為、防御時において相手の力を利用する事によって、最大限の反撃威力を発揮します。

剛柔流では、その流名が指し示すとおり、剛法と柔法は別々に使用するのではなく、連携して一つの合わせ技として使用されます。
非常に奥深く、面白みに富む武術であるといえましょう。


【 鍛錬内容 】

ここに挙げたものは一部ですが、他に様々な鍛練を通じて剛柔流に必要な、心、技、体の充実を図ります。

カキエ 二人一対になり受け技を強化しつつ、円の動きでの受けのテクニック を習得。中国拳法の「推手」の強化版みたいな感じでしょうか。

回し受け  上、中、下段の三つの受け技を、1つの円の動きの中に取り入れてあり、鉄壁の防御と称される。
 受け技は同時に攻撃技にもなり、多くの応用技があります。

型「転掌(テンショウ)」 剛柔流において柔を象徴し、「カキエ」「回し受け」の基本要素を含んでおり、その基本への理解を深めます。

入り身組手  上記三つを実際に活用し、攻撃に対して防御と崩しのみで応戦する練習を行ない、攻防の実感覚を養う。
 相手の攻撃を無力化できれば、これはもうこの上ありません。

息吹(いぶき) 内功(心肺機能や内蔵機能等の内面の力)の鍛えとして、 独特の呼吸法を用い、経絡活法と併用して心身の調整と集中力の向上を図ります。
  内臓諸器官に働きかけ、自律神経を活性化する作用があります。

小手鍛え 主に防御に使用する小手部位を、お互いに打ち合わせて強化する 外功(骨格や筋力等の外面の力)の鍛練法。
 「なんたって盾が脆くちゃ話にならん」 との剛の思想からの練習です。

型「三戦(サンチン)」 この型には蹴り技が一切なく、突き技も防御技も中段のみで構成されています。
 一見して単純、且つ非合理的に見えますが、剛柔流の戦術理念を内包しており、非常に高度なものです。
 剛柔流に於いて剛の象徴(正確には剛柔の要素とも含む)でもあります。
 息吹を併用しつつ、筋力の強化や力の入れ抜きの操作訓練等を行います。


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